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◆Toneflake custom T-47の製作の経緯◆


 長年に渡る海外一流メーカーとの付き合い、20年以上に渡るビンテージ市場での実績、おびただしい数の過去の名機の分解、修理、研究......。これらの蓄積が今ひとつの形になりました。 Toneflake Custom T-47です。 オリジナルのボディーシェルと寸分違わぬ精巧さ、それはオリジナルプラントとの密接な関係が秘密の根底にあります。金属部品は現在一つ一つ完全手作りで職人によって造られており、まさに趣向品です。 安価な中国製やブランドの名ばかりのOEM製品とは似ても似つかぬ『本物』だけが持つ威光を誰もが感じとる事が出来るでしょう。 U47を始めとする模倣品、カスタム品が数種類存在する中で、当社T47は圧倒的な音質を誇ります。それは数百本に渡るマイクロフォンの修理およびメンテナンスを手がけてきた職人だからこそ分る本物の音とそれぞれのウィークポイントを知り尽くした設計が可能だからです。

◆内部設計について◆


◆真空管◆


 もちろん、部品の入手の都合によりオリジナルより変更となった部分がいくつかあります。 例えば真空管。Telefunken VF14Mが正式な真空管ですが、今や正常動作保証されているものは25万円(2008/1現在)を下りません。保証無しでも20万円近くするのです。これを採用し製品化するのはもはや現実味のある内容ではありません。ではVF14に負けず劣らずの真空管および回路は無いのか?これに対する回答がT-47なのです。研究に研究を重ねた結果、Telefunkenをはじめとする一連のEF14真空管がある設計を施す事によりVF14Mと遜色無い音質を確保出来ることが分りました。無論両者は全く同一のものではありませんが、ABテストで優劣が付く類いの格差ではありませんでした。

◆出力トランスやキャパシター等◆


 出力トランスとカップリングキャパシターもそうです。 オリジナルのBV8は当時の周波数特性と接続器機との相性を考えて、本体内部のBOSCH MPキャパシターの内部インピーダンスとマッチするように設計されています。しかるにこのBOSCH MPキャパシターは現在入手は不可能であり、あったとしても内部成分の不可逆的化学変化により当時の性能は『絶対に』出せません。これをデッドストックで見つけてみても何の役にも立たないのです。実際にこの10年間で500個近いストックを探し当てましたが、実用に耐えうる性能を維持していたのはたったの8個でした。これではお話になりません。では現在最も当時の音質に近いと思われるキャパシターは何か?長年のオーディオリサーチにより仏製SORENおよびUSSR時代のロシア製キャパシターであることが分りました。つまりこの両者にマッチする出力トランスでなければ何の意味もないわけです。このスペックを元に米国の真空管オーディオの歴史と言っていいあのPeerlessの元エンジニアに特注で作ってもらっているのが当社採用の出力トランスです。アルニコ5鋼板仕様の贅沢な作り、音質はオリジナルのBV8よりも遥かに上です。当時のFM放送規制のための15Khz上限カットのような足かせは一切ありません。フルバンド、フル出力なのです!

◆ダイアフラムはM7◆


 オリジナル部品にこだわったのはダイアフラム。本物のマイラー6μを張った本物のM7です。そしてそのドライバー電圧から音声を取り出すカップリングキャパシターに、なんとオリジナルと同じビンテージEROを採用!これが音の秘密なのです。

◆抵抗器◆


ダイアフラムドライバー電圧制御にはTAMA製超高精度高抵抗素子かNeumann純正デッドストック素子を使います。この両者はそれぞれに特徴があり、そのマイクの個体に合わせてベストな音質が確保出来る様にチューニングの際にどちらを使うかを決定します。ブランド指向の人はなんでもNeumannが良いと思いがちですが、あくまで組み合わせの問題だという事をここで敢えて強調したいと思います。TAMA製の抵抗素子は超高性能ですが、幸いな事に海外のビンテージ機材メーカーにはあまり知られていません。T-47が最終的にメイドインジャパンだからこそ可能な『技』なのです。この音が本当に素晴らしい!現在のところ、海外のビンテージマイクメーカーはその殆どが安物の中国製のMΩ素子かプレート状のMΩ素子しか使っていません。これでは当時の音に勝てる訳がありますまい。
音質を決める上でもうひとつ重要な素子、プレート抵抗ですがこれもやはり長年のA/Bテストによりハイワッテージタイプの米国製DALE社の物が最適との結果になりました。無論オリジナルのデッドストックともA/Bテストしましたが、優劣付けがたかったくらいです。

◆配線ワイヤー◆


内部配線材にはUSSR軍製(旧ソ連)の戦闘機やミサイルなどの制御装置で必要不可欠であったスピードと、真空管回路のような超高インピーダンスでの最小リークの両方を兼ね備えたUSSR軍製テフロンジャケットワイヤーを使用。内部銅線は銀を僅かに含む合金です。99.999なんとかという純粋主義の行き過ぎた線材は採用しませんでした。なぜなら音がつまらないから。あくまで耳で聞いて良い音でなければ意味がないのです。その結果、現在確保している資材および入手可能な線材の中ではこのUSSR製テフロンコードが最高でした。実は肩に一巻き分しか確保出来ませんでしたので、これが無くなったらこのバージョンは終わりです。

◆実際に使用する真空管EF14について◆


真空管は数ある物の中から24時間バーンインテストを経て音質的に合格したものだけを使います。ブランドはRFT、Philips、Funkwerk、VALVO、Telefunkenのいずれかですが、今までの経験上Telefunkenは当時の工場の規格外物が数多く流通している関係であまり良い個体がありません。意外ですが、RFTかFunkwerk製の物が良い音なのです。これも手元に十数本しかありませんので在庫限りとなります。マイクロフォンでのテストは大変厳しいので、それをパスするスペックの真空管は中々入手出来ないのが現実です。オークションで売っている真空管は何故安いのか?それはこういう専門用途に耐えられないランクの物だからです。

◆マイクロフォンケーブル◆


本体内部はこのようなこだわりの設計です。マイクと電源を繋ぐコードは最初期のノイマンを彷彿とさせる布網状のコードですが、これはいくつかの選択肢があると思います。もちろんオリジナルのノイマンも良いでしょうし、ノイマンとゆかりの深いGotham AUDIO製の物も良いでしょう。BLUE社の造ったシャンパンケーブルも独特のハイエンドの伸びでファンも多い様です。しかし、デフォルトでは安定した性能と平均的な特性を保つために付属するのはこの布製のコード(無論内部はちゃんと樹脂製絶縁ジャケットです)になります。

◆誰もが憧れた『あの音へ』◆


誰もがビートルズやヘレン・メリル等の音が欲しくて憧れ、そして実際にスタジオでレンタルしてみて正直ガッカリした人も少なくないでしょう。思い込んではいけません。心の声に耳を傾けましょう。

『なんかこのマイク、モコってて音が引っ込むんですけど......』

オケに混ざって前に出て来れるオリジナルのU47は東京では両手で数える程しかありません。そのうちの半分は当社がメンテナンスを手がけたものです。残りの物でマトモな状態の物にお目にかかったことはついぞありませんでした。先日もT-47と某有名所のオリジナルノイマンU47と一騎打ちしましたが、声を出すまでもなくマイクに近づく足音でその差が分ってしまった程です。T-47の圧勝でした。
実は本家の修理部門でも代理店でもこの時代の本当の音の出る部品はもはやほとんど持っていません。修理に出しても本来の音になって戻ってくるわけではなく、あくまで壊れた部分が『電気的に』直って帰ってくるに過ぎないのです。

◆オリジナルは140万円??◆


その上オリジナルは外見のコンディションがまぁまぁ良いと軽く130~140万円程(2008/1)ほどします。海外ではもう少し安いようですが、それでも立派に110万円を超えます。しかもこの先真空管は確保出来ないわ、ダイアフラムは当然の事ながら使い込まれてヤレてるわ(開けてみると大抵は唾の飛び散ったキタナイ跡が!)、電源回路も消耗してるわで良い事なんかひとつもありません。また米国のU47はニュービスタ管改造されている個体も多く、これがクセものです。ハッキリ言って音は最低です。ただのレンジの狭いナローなマイクでしかありませんし、この事実は当時の多くの技術者が認めています。
ニュービスタの内部インピーダンスとBV8が大変なミスマッチを起こしているのですが、何故採用されたのかと言いますと、電源回路の変更を殆どしなくて良かったことが各ディーラーでの改造を容易にさせ、利便性優先で採用が決まったのです。

◆正しい選択とは◆


メンテナンスのされていないビンテージはただの『クズ』です。メンテナンスも耳の良いエンジニアが行わなければただの電気屋の修理です。今だからこそ造る事が出来る最高のマイクロフォン、それがT-47です。海外の個人ブランドでかなり良いものを時々見かけますが、T-47はそれらに決して負けていないどころか、日本のレコーディング事情を理解した上で日本人の特性に合わせたチューニングを行っているのです。考えて下さい、レコーディングで主役は誰ですか?マイクですか?それともアーティストですか?それが分れば答えは自ずと導き出されてきます。

◆最後に◆


このような非常に品質の高いマイクロフォンを造るにあたって、部品の確保のための苦労は並大抵の事ではありませんでした。現在も確保出来ているのは僅か中身が7本分でしかありません。ボディシェル等は職人に発注してからの製作になるので納期は最大で3ヶ月程になる場合もあります。またデモ機の音質はあくまでそのデモ機のものであって、実際に組み上がるマイクの音はそれとは若干ですが異なります。ダイアフラムのエージングなどの要因もそうですが、なにより全てがワンオフでの製作なので仕方ないのです。ですからもしデモ機を聞いて相当気に入ったのであればその個体をお買い上げ頂く事を御薦めします。デモ機と言っても丁寧に扱われ、むしろ組み上がったばかりの物よりも様々な細かいトラブルを克服しているのでかえって御薦めなのです。クルマで言えばピカピカのままエンジンの慣らし運転が終った状態とでも言えばいいでしょう。数々の録音資料を研究した結果ですが当時の本物はきっとT-47のような音であったと思われます。

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